認知症の高齢者の方に1日でも早く一人でも多く記憶を持ってほしい。それがおぼえている手帳の願いです
記憶こそが人にとっての自己認識を作るものです
ご自身の記憶を持つことがどれほど重要なのか考えてみてください。
ふだん、認知症ではない私たちは自分のことをどのように認識しているでしょうか。 性別、年齢、会社、家族。
そしてそれまで生きてきた中で得られたいろいろなエピソード。エピソードどうしのつながり。
認知症の人たちにとっては、最後のいろいろエピソードの最近の部分が固定できません。
たとえば、大けがをしても、なぜ自分がその状態なのかの納得が非常に困難なのです。 それは大けがをしたことの記憶がないからです。
だから、右手を骨折し、ギブスで固定していて不自由な状態だったとしましょう。病院に行ってギブスで固定されたとします。
そして、翌朝起きても、それがなぜなのかがわからないので、戸惑いがあるのです。
認知症の人は、こういう世界を生きています。
記憶がないために自身の情報についての自問自答が繰り返される
これがけがのような一大事でなくても、そうです。
なぜ自分の世界が変わっているのかについての説明がどこにもなければ、わからないままなのです。ましてや、記憶を固定する能力が衰えている認知症の人たちにとっては、その自問自答がずっと繰り返されることになります。
記録することを記憶の代わりにすれば見直すことができる
おぼえている手帳は、そういう状況に、記録の冊子という形で応えようとするツールです。
どこかに出かけたらその出来事を写真と直筆の文章で記録。そして後で見直す。
冊子のページをめくる構造は、時間の経過を疑似体験するのにぴったりの形式です。
取り扱いに特別の知識はいりません。
認知症の高齢者の方に一人でも多く、1日でも早く記憶を持ってほしい。
それがおぼえている手帳の願いです。