認知症の人でも記憶を持てる方法があります

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 認知症は加齢に伴い、記憶の保持ができなくなる症状です。それ以外にも様々な周辺の症状があります。進行を遅らせる薬はありますが、まだ決定的な治療薬はありません。2025年には、日本の認知症人口は750万人になるといわれています。つまり近い将来の日本においては、ご家族やご近所の方に認知症の方がいることが珍しくなくなることになります。認知症のご本人が持っている問題として、近い過去に関する記憶が保持できないことがあげられます。そのことによって漠然とした不安を持っていることは想像に難くありません。

 「おぼえている手帳」は、認知症の高齢者ご本人と、ご家族や介護する方の力を合わせ、記録の蓄積と再生によって、この問題に対応。一人でも多くの認知症の高齢者の方に記憶を持ってもらおうと考えています。

残った能力と周囲の方の力で記録を記憶に 「二人三脚の記憶帳」

 認知症の人のすべてがいっぺんにいろいろなことができなくなるわけではありません。
 ご自身で文字を書くこともでき、ノートのページをめくることもできます。
 書いてあることや挟まれた写真を見ることができる方がたくさんいらっしゃいます。
 また、ご家族の方や介護する方にも力を貸していただき、認知症の方でも残っている能力を活用して記憶を持ってもらうための仕組みを作りました。「二人三脚の記憶帳」、それが「おぼえている手帳」です。 

これが「おぼえている手帳」です

 

 おぼえている手帳は、記入ページと、写真を保持するポケットが一対になった見開きで構成されています。ポケットに入れた写真の厚みがおさまるようにリング綴じになっています。
 また、ご家族や介護する方に協力してもらい、二人三脚で作り上げていくものです。使い方は以下になります。
 まず、認知症の高齢の方に日々の出来事を記録していただます。日付を書き、そして出来事を書いていきます。
 書くのは、できればその瞬間が望ましいです。
 そのときが難しければ、あとから周囲の方が何があったのかを教えてあげましょう。聴いてもらいながら直筆で記録してもらうといいでしょう。
 同時に介護する周囲の方が、ご本人の写真を撮ります。これを組み合わせて「おぼえている手帳」の中に保持します。

 これを繰り返すことで、記録された文章とそのときの写真が、ご本人の記憶となります。また、折に触れて過去のページを見返すことで、認知症の方ご本人が、記録によって時間の経過を追体験することができます。

「おぼえている手帳」はこんなことを実現します

 おぼえている手帳を使うとどんないいことがあるのでしょうか。
 記録することで認知症の高齢者の方やご家族の方が得られるメリットは何なのでしょうか。いくつもありますが、以下に代表的な3つのことをあげておきます。

1.記憶を持つことができる 

 まず認知症の高齢者の方々に、記録として、記憶を持つことができます。そして、そのことで生きている実感をあらためて感じていただけるようになります。
 記憶は普通の人ならば普通にもっているものです。そして、認知症の場合は、記憶をもつことができません。
 何か出来事を経験しても、しばらくすると忘れてしまうのです。正確にはその出来事を記憶として保持する力が弱っています。だから、それを思い出すことができないのです。
 そして、おぼえている手帳に、文字を書き、撮った写真を保存すると、それらの記録が記憶の代わりになります。ご本人が覚えていなくても、自分が写った写真をみて、自分が書いた文字を見ることで、それが自分の経験であることが納得されるのです。
 これは、記録をして初めて実感できる効果です。おぼえている手帳をテストしていただいた複数の方々が実感しています。

2.文字を書く機会を持てる
 文字を書く経験を通じて、世界を感じ、その感じた出来事を文字の形で保存できます。
 文字を書くことで、脳の働きが活性化することはすでにいくつもの実証例があります。
 文字を書くことは、自分の経験を保存することです。
 これもまた、普通の人にはあたりまえのことです。あたりまえすぎて普段は意識していないでしょう。
 そして、これができることで、認知症の高齢者の方々は、ご自身に自信が持てると思われます。
 また、それを見たご家族が安心し、家族みんなが笑顔になるはずです。
 認知症や高齢者の問題はこれだけではなく、万能のツールではありません。ですが、脳の働きが活性化し、自身が経験したことが定着できるのは大きな自信につながるはずです。

3.コミュニケーションに役立つ

 おぼえている手帳は、二人三脚の記憶帳です。
 ご自身が書き、ご家族や周りの方が写真を撮る。
 このやりとりの中で、高齢者の方とご家族の間にコミュニケーションが生まれます。過去の出来事やそのときに考えたこと、また、文章や写真をみてそのときに思ったことなどが会話のきっかけになります。
 これを繰り返し蓄積していくと、過去のことを振り返るご自身が記憶に関することを記録としてサポートすることで高齢者ご本人とご家族との関係がよくなると考えています。

☆実例

 開発に際しては、実際に認知症の方やご家族の方に、テストをお願いしました。テスト用の冊子を渡して、一定期間使っていただくように依頼しました。以下はテストにご協力いただいた方のご意見です。

事例1 神奈川県大和市 施設
 神奈川県内のある高齢者施設でご協力いただいているところの例です。以下いただいたメッセージを引用します。「ご本人の感想・様子は「文字を忘れてしまっているな」前回の書いた文章を見て「こんなことしたかな?自分の字だね!」など話しています。また、1週間前のことを見て思い出すことにより、もっと遠い昔のことを思い出し、スタッフに思い出話を自分から積極的に話す様子が見られました。」

事例2 静岡県伊東市
 その方は2週間に1度、90代のおかあさまにあわれるそうですが、一度写真をとって、おぼえている手帳に貼り、後で見せたところ、ご本人が「これ私?」といって、大きな反応を見せたそうです。また、文字を書くのもなかなか困難になっていたそうですが、それでも、写真に直筆でメモを書いていたとのことです。 このように、認知症の方であっても、写真をとって貼り、そこにメモを加え、蓄積していくことで、ご本人の生の実感を再び持つことができるようです。

事例3 神奈川県茅ヶ崎市
 「母とは一緒に住んでないので、実家に行ったときのみ、週数回という感じですすめています。母はあった出来事を数分後には忘れてしまうので、一緒にいた日の午後に、私が今日こんなことをしたね?と振り返りながら、言ったことを母に書いてもらうようにしています。母は、後日ひとりのときとかに、その写真と文章をみながら、思い出したこと、気になったことを自分で書き直したりしているようです。
はじめは手帳を書くことに全然乗り気でなかった母も、今では「すごい良いのよーー!!」と絶賛しております。笑笑。そしてお友達の認知症のお母様にもすすめています。
おぼえてる手帳を書き続けるのは、写真をとったり、写真を印刷したり、一緒に記入するのをみてたりと、家族も一緒にやる必要があるので、負担はありますが、母の喜んでいる姿をみて、やっていてよかったととても思います。母は、この手帳をつけていることで、自分が何をしているかわからないという不安が少し解消され、精神的にも少し落ち着いてるような気がします。そして私以外の家族も、その効果を感じているようで、書くことを一緒に手伝ってくれています。

お義母さまを介護されていた方「元気なときに使ってあげたかった」
 使ってみたかったという方の意見もいただきました。その方は、お義母さまを長年介護し、数年前に亡くされたそうです。元気なときには、いろいろな場所に連れて行ってあげたそうです。
 ですが、お義母さま自身は認知症で、そのときの記憶をもっていなかったとのこと。
 実際には出かけた事実はある。なのに記憶がないがゆえに、「どこにもつれていってもらえない」とご不満だったそうです。だから、「お義母さまが元気なときに使ってあげたかった」とのことでした。おそらくこういうご家族はほかにもいらっしゃるかと思います。そしてそういう方々に、記録という形で記憶を共有していただき、コミュニケーションのきっかけにしてもらう。「おぼえている手帳」の役目はそこにもあると考えています。

おぼえている手帳のお求めは

https://oboeteiru.thebase.in/

 おぼえている手帳は、専用オンラインショップからお求めいただけます。

 色バリエーションは、「さくら」「うぐいす」「あずき」の3色です。
 またグループホーム導入用の10冊セットもご用意があります。
 どうぞよろしくお願いいたします。

医師・介護業界からの推薦の声

「おぼえている手帳」は、専門の医師や介護業界の方々からも推薦の言葉をいただいています。

医師
「おぼえている手帳は、認知症のご本人とご家族が記憶を保持し共有するのに格好の手段です。写真と記述が記憶の助けになり、継続していくことでご本人が自分史を実感できます。」
神奈川県認知症対策委員会 元委員長 鶴井医院(※現鵠沼メンタルクリニック)院長 高岸泰氏

デイサービス運営者
「デイサービスでの活動やその時の想いが、本人の文字と写真で綴られている。手帳を囲んで仲間やスタッフと思い出話で盛り上がる!おぼえている手帳はコミュニケーションツールとしても秀逸です。」
石井直樹氏(介護のハッピー合同会社代表)

介護業界のベテラン
「この手帳は記録革命になり得る。高齢者は一人ひとりが世界遺産。誰もが誰かから必要な存在だということを、日々のささやかな生から紐解ける。専門職ではなく本人が綴る記録から学べることは多い」
長渕晃二氏(卓球療法協会理事長 35年間にわたり、福祉の実践や経営、教育、執筆に携わる。現在日本卓球療法協会理事長として、各地の認知症ケアに関わる)


 

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