「おぼえている手帳」開発のきっかけは肉親の認知症でした その1
「おぼえている手帳」開発のきっかけは、肉親の認知症でした。
逆にいえば、肉親が認知症になることがなければ、「おぼえている手帳」は生まれていなかったと思います。
肉親が認知症であること(その疑いがある)がわかったときの対応は、まず受診させることでした。
気が進まない様子の本人をなだめて専門医の所に連れて行ったことを覚えています。
あるときは、漢字検定のテストを受けるように提案したのですが、申し込みをしたことは覚えていても、当日は会場に姿を現さなかったりしました。この時点ですでに認知症だったのだと思います。
そして診断が下りました。認知症である旨がわかったときは、別々に住んでいました。母は私の実家に住んでいたのです。それゆえ服薬を促すのも大変でした。
電話で服薬する旨を伝えても、それが確実に果たされることはまれでした。
同時に家の中も激しく荒れていました。冷蔵庫には食べ物がたくさん押し込まれており、そのほとんどは賞味期限が切れていました。
そういった中で、ほぼ嫌がる母をなだめすかして専門医のところにつれていき、診断が下されたのです。ただ、それは単なる始まりでした。