右開きには理由があります:回答編
回答:高齢者の残っている力を生かした結果です
先日の投稿で、「おぼえている手帳」が右開きなのには理由がある旨のことを書きました。
今回は、回答編です。
「おぼえている手帳」が右開きなのは、認知症の高齢者の残っている力を引き出し、活用することを考えてです。
現在ご高齢の、昭和一桁から昭和20年生まれぐらいの方々にとって、ノートとは右開きのものなのです。
私も仕事の関連で、日記や手帳の研究者のシンポジウムに参加したことがあります。そして、その当時、すなわち、昭和初期から昭和20年ぐらいまでに生まれた方々の使っていたノートは右開きです。
だから、この世代の方々にノートを渡すと、右から開こうとするはずです。
現時点における一般的なノートは、横書き用で、表紙は左に開くようになっています。そしてこういうノートを、高齢者の方に渡すと、左ではなく、裏表紙の方から右に開こうとするはずです。
ある能力を生かした設計
つまり、現在の横書きのノートは、高齢の方がそのまま使うのには向いていないのです。
もちろん、一般的には新しい使い方に慣れればいいという事になるでしょう。しかし、その新しいことがなかなか習熟できないのが、認知症の高齢者の方全般の特徴なのです。
だから発案者である私は以下のように考えました。
では、その世代の方々が自然に使えて、戸惑うことがない作りにしよう。
そして右開きに使えて、写真を楽にはさめるものをさがしました。そうやってできたのが「おぼえている手帳」なのです。
その開発の経緯は、こちらのページにもあります。