「認知症の高齢者の方が、自分の過去の経験を発見して驚いたり納得したりする世界を見たい」その一念でやっています
「おぼえている手帳」は、製品としても事業としてもまだまだこれからの存在です。
正直に申し上げて、得意なことばかりではありません。とくに営業やマーケティングなど、それまでに経験のないこともあり、施策の結果は決してはかばかしいものばかりではありません。
それでも私がまだ「おぼえている手帳」にこだわる理由はひとつしかありません。
「認知症の高齢者の方が、自分の過去の経験を発見して驚いたり納得したりする世界を見たい」その一念でやっているのです。
認知症の高齢者の方でも、視力はもとより、文字を書く能力、読む能力を残している方はたくさんいらっしゃいます。そういった方々に対して、写真を撮り、できればご自身で文字を書いてもらう。
そしてそれを繰り返していく。蓄積していく。
そのことで、認知症の高齢者の方々がご自身の生活史を見られる。また連続した時間の中に生きていることを感じてもらうことができる。
これこそ、「おぼえている手帳」が実現する素晴らしい世界だと考えています.
そのためには、ご家族や介護される施設スタッフの方のご協力も不可欠です。
ですが、それを少しずつでも、たまにでいいので継続する。すると、認知症の高齢者の方々が、流れている時間の中で生きている実感を持つことができるのです。
特別に新しい技術を使っているわけではありません。高齢者の方の残っている力と、日本語のリテラシー、ノートの右開きの構造、スマートフォンやデジタルカメラの写真撮影の機能、プリンターの写真印刷の機能。これらの、身近な力を組み合わせることで、「おぼえている手帳」を使っているユーザーは、時間の中で生きる自分を実感できるようになります。
そして、これこそがイノベーションだと私は考えています。
すでに、医師からも推薦文をいただき、認知症関連の書籍の著者の方からも推薦の言葉をいただいています。また、介護の世界の専門家からも激賞していただきました。
これを読んでいる方で、認知症の方を介護されている方は、ぜひご購入ください。そして実際にやってみて、認知症の方に、連続した時間の中で生きている実感を得てもらってください。
それこそが私の喜びであり、私が「おぼえている手帳」をやっている理由です。
どうぞよろしくお願いいたします。